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アメリカで伊能大図207枚発見2001.7.5
2001年3月31日 たまたまアメリカ合衆国を旅行中の伊能忠敬研究会代表理事渡辺一郎夫妻がアメリカ議会図書館で伊能大図207枚を発見した。
帰国後、国土地理院などと協議の結果、日本国際地図学会、伊能忠敬研究会、日本地図センタ―の三者合同で学術調査をおこなうことになる。6月18日~22日の5日間、渡辺一郎、鈴木純子、永井信夫の3名で再度議会図書館を訪問し、207枚の内容を全部確認し伊能大図模写本であると判定した。現地では留学生の神田さんの協力をいただいた。
調査結果は7月4日、国土地理院測図部長がオブザーバー出席して、関東地方測量部会議室で報道発表された。朝日、読売、毎日、日経、産経、東京、共同、時事、NHKの各社が大きく取り上げ、大ニュースとなる。
発表者 日本国際地図学会 大竹会長、鈴木純子常任委員
伊能忠敬研究会 渡辺代表理事
日本地図センタ― 永井理事
国土地理院 堀野測図部長(オブザーバー) (職名は当時のもの)
後日、発見内容の詳細は、日本国際地図学会誌上(Vol.39 No.3 2001)で発表されている。報道のなかでは発見された大図の枚数を206枚としていたが、それは数え間違いで、実際には207枚であったので、学会報告のなかで訂正された。
●“アメリカで伊能大図発見!”を伝える2001.7.5朝日新聞朝刊の一面トップ記事
まさか一面トップにくるとは考えてもいなかったが、夜に入って日経の記者から「大きな記事になりそうですよ」と情報が入る。「そういうことが、どうしてわかるの?」「共同通信さんが一面用として記事を流しているよ」との話。
テレビは4日夜から、新聞は5日朝刊から、とお願いしていたが、翌朝朝刊を調べたら、読売さんは社会面の半分以上を使って大ニュース、東京の各紙は全部一面で取り上げていた。
●報道発表模様
報道発表の案内状に対し、説明者渡辺と旧知の記者からは、早速事前問い合わせがある。状況を理解していただくのは大変だった。偶然発見したという点と、どうしてアメリカに渡ったのか、という点 が議論になった。集まっていただいた報道関係者は十数人だったが、翌朝の各紙一斉の大報道には主催者側がびっくりした。
ワシントンの議会図書館で「伊能大図」を発見したことを説明する渡辺一郎さんたち
●読売新聞 朝刊 社会面 “伊能大図206枚 米国にあった”
富岡八幡に銅像建立のご寄付を頂く際にお世話になった、読売新聞江東支局長さん自ら執筆されたでかい記事である。本社に出かけて書いていると周りの記者が覗いて、大分話題になったそうである。社会面の地価の高い場所に、こんなに沢山スペースを取っていただいて感謝の他はない。
●読売新聞(2001.7.12)人物紹介欄「顔」で発見者渡辺を取り上げる
●山形新聞朝刊に発表された記事「伊能大図に鳥海山の噴火」
山形新聞からうちの分の大図の写真はないか、と共同通信経由で要請され、これしかないけど、といって渡したもの。鳥海山の墳煙の図が第一面に出ているのには驚いた。実際に当時墳火していたことを調べて書いている。確かに意表をついている。また当時はまだ水面だった象潟が描かれているのもいい。 (渡辺一郎)
●京都新聞(2001.7.21)朝刊掲載記事
”天橋立くっきり” 次の画像は、 記事に示されている“天橋立”部分を現在の航空写真を背景画像とし伊能大図を右側に対比させたHP用に作成したものです。
●アメリカ大図発見のニュースを伝える信濃毎日新聞朝刊一面
次の画像は、記事に示されている“大阪城”部分を伊能大図を背景画像とし、右下図に現在の航空写真を配置したHP用に作成したものです。
●北海道新聞 朝刊に発表された記事
東京で発表したアメリカ大図4枚のなかに、石狩川流域があったので、北海道新聞は一面トップで報じた。石狩川流域は平野なのに、両岸には山景が描かれている。これは、伊能図の描画担当者が測線だけあって、沿道風景がない資料を渡されたため、川筋の蛇行を山の中の曲折と即断したためと思われる。 この部分は間宮林蔵の測量である。測線は川岸や川の中央を走っているが、この赤線は石狩川から勇仏に抜ける大横切り測線である。間宮は雇人足を指揮して伊能式の測量術を実行していた。 彼は忠敬死没の前年に、忠敬が測れなかった部分の北海道の測量データを持参し、忠敬宅に泊まり込みで引き継ぎをしているが、この地域の沿道風景を引き継がなかったらしい。北海道を少しでも知っている人には当たり前だったからだろう。 もうひとつ、この写真は、撮影の都合で北側から撮ったが、地図は北を上に撮ったほうがいいですよ、と親しい北海道新聞の記者からのアドバイスを受けた。 |
●報道発表資料
報道発表資料です。永井(日本地図センター)司会、大竹国際地図学会会長挨拶、伊能忠敬研究会渡辺代表の説明、国土地理院オブザーバーの補足、という順に説明が行われた。質疑、個別取材になると、現地調査の3人組を囲み、てんや、わんやだった。
●伊能大図が眠っていたアメリカ合衆国議会図書館
●アメリカ大図の調査団メンバー
左から
・鈴木純子 日本国際地図学会常任委員 相模女子大学講師
・永井信夫 日本地図センター理事
・渡邊一郎 伊能忠敬研究会代表理事
肩書は当時のものです。