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2023.11.24 富岡八幡宮に於いて記者発表を行いました


 本DBの記者発表を富岡八幡宮で15時から行いました。数社の記者様が取材に見えました。
 当日は戸村から故渡辺一郎さんのweb公開の目的や意義、今回の天体観測DB公開までの経緯、本天体観測DBの概要の説明を行い、横溝からDBシステムの特徴を実演を交えながら説明。質疑応答が行われ17時前に終了。

毎日新聞 12月4日、夕刊に掲載

 全文は有料ですが 毎日新聞のサイト をご覧ください。

天体観測データベース(DBと略)本システムの注意事項

正確な日本地図を制作するために天体観測が行われた

 伊能測量隊の天体観測はこよみ(1年365日の日の出・日没の時刻等)を正確にするとともに、球体である地球上の何処に各地およびランドマーク(城、館、寺社、山、島嶼等)が位置しているかを決定し、相対位置関係、海岸線の形状を正確に描く日本地図を制作するために行われました。
 現在天測の実態は間違って伝わっています。高名な伊能研究家でも「北極星の高度を測って緯度を決定した」と云われる方々いらっしゃいます。そもそも当時、北極星(現在のこぐまα、Polaris)の語彙はありません。江戸の天文学者は「勾陳一こうちんいち」と云っていました。さらに当時、北極星の赤道緯度は恒星表(国宝)によれば88度13分56秒でした。したがって地球の自転軸から約1.8度もずれていたため、静止しておらず、北極点を中心に反時計回りに周回していました。また象限儀で高度を計測しても大気差で実際よりも高く観測され緯度を決定することは出来ません。
【注意】
 伊能測量における天体観測の実測データは、現在、測地度説(1次測量と2次測量)、北極高度測量記(3次測量)、雑録が現存するだけです。
 当webサイトでは測地度説、北極高度測量記の恒星、太陽の観測データをDBとして構築しました。木星など惑星や、月も観測していたはずですがデータが残っていないためDBには取り込んでいません。
 現在判明している天体観測結果を参照してください。

【凡例】
の表示は天体観測DBを参照していることを示します。

当伊能天体観測webサイトはスマホでの表示に対応してません。見られないことはありませんが、PCでご覧ください。

伊能忠敬測量隊の天体観測の概要

天体観測方法も間違って説明されていますので、実態を説明しています。

観測した全恒星(233種太陽を含む)

 残っている観測データは第1次、第2次、第3次までで、残念ながら第4次から第9次測量までの観測データはまだ発見されていません。

観測した全恒星

史料別観測データ一覧

第1次測量 測地度説 人之巻

 この第1次測量だけ、観測地の緯度は恒星の観測値と赤道緯度(赤緯)で求めています。
 表示している赤緯はDB構築時に求めた値です。

第2次測量 測地度説 地之巻

 この第2次測量から、観測地の緯度は恒星の観測値と、この恒星の隠居宅での観測値の差を求め、隠居宅の緯度(35後40分半)を加算あるいは減算して決定しました。
 表示している隠居宅での高度、赤緯はDB構築時に求めた値です。

第3次測量 北極高度測量記(国宝)

 この書は原書で伊能忠敬記念館に所蔵されています。測量から帰宅して1ヶ月(29日)間の観測データも記載されています。
 表示している各恒星での緯度、隠居宅での高度、赤緯はDB構築時に求めた値です。

第3次測量帰着後の隠居宅での観測

 北極高度測量記の記載が恒星別に変わります。原書に従った表示にしました。

雑録 月食観測データ部分雑録原書

 雑録(国宝)「享和二壬戌年二月十六日月食測量」の部分14頁に記載された内容をまとめたました。
 この月食は第2次測量から帰着した享和元年12月7日(1802.1.10)、第3次測量に出発した享和2年6月11日(1802.7.10)のほぼ中間の享和2年2月12日~18日(1802.3.14~21)に観測されています。

● 太陽午中観測値(2月13日~18日)

 月食に先立って垂揺球儀を稼働、毎日午中(南中)の時刻を測定した。

月食観測 享和2年2月16日

 雑録に記載された月食(部分食)初虧から復円までの食観測データです。
 初虧しょき:欠けはじめる時刻、第1接触、食甚しょくじん:食分が最大になった瞬間、
 復円ふくえん:月面がもとの円形に戻る瞬間

月食前後観測した恒星一覧

 春の彼岸の頃の観測であるため第1~3次測量で観測できなかった恒星が観測されています。

月食前後観測した恒星詳細

 恒星、太陽、木星を観測。

恒星全図で示す観測データ(追加予定)

 伊能忠誨ただのりの恒星全図に各地で観測した恒星と観測順を示します。

ニシベツ(別海)での観測

 第1次測量での最北端、最東端でもあります。

尻谷(尻屋)での観測

 第2次測量での下北半島の最北端の観測データです。

米澤城下での観測

 第3次測量、小説「汐さいの地図」(梅田うめすけ著)に記載されているエピソードを再現してみました。

最上郡金山村での観測

 第3次測量出発して32日目の観測データです。織女の観測向きが変わりました。

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