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伊能測量が測った星々(その2;おとめ座~さそり座)

春から初夏にかけての星座

 享和元年四月二日(西暦1801年5月14日)、本格的な測量を目指して本州東海岸の測量(第二次測量)に出発した伊能測量隊は四月二十六日 熱海に到着。この熱海でそれまでに測量したデータをもとにして下図を作成するために逗留することにした。翌二十七日、朝は雨であったが夜になって晴れ上がってきたので、急いで天測の準備をし、暮五ツ過ぎ(午後8時20分)から実測を始めた。

最初の星は 晩春の南の中空に見えるうみへび座π星(中国名の平)で北極高度32度50分だった。

次は5分後でおとめ座α星スピカ(中国名の角宿一)で北極高度44度49分35秒。

更に5分後、今度は北の空天頂近く北斗七星の柄杓の柄の2番目の星(中国名の開陽)で北極高度69度10分。  更に5分後、今度は南の空おとめ座ζ星(中国名の角宿二)で北極高度は55度22分50秒。

その後はうしかい座、てんびん座、へび座及びさそり座の星を合計21個を測って、終わりにした。時刻は4ツ半過ぎ(午後11時10分)だった。

解説

 川幅の測量は、手前の堤防の上の2点間の距離を測り、また、各2点から対岸の1点への方角を測ることによって、川の上に縄を張って長さを測ることなしに正弦定理で計算した。

 天体観測は、南北に向けて設置した子午線儀に張った糸を恒星が横切った瞬間の恒星の高度を象限儀で測った。

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